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【推論形式の誤謬】
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【レトリック】(暗示にかける表現)
殺人は悪だ!なぜなら悪いものは悪いからである!【循環論法・論点先取】
最終更新日:2016.1.3
今日は
・循環論法 (じゅんかんろんぽう)
・論点先取 (ろんてんせんしゅ)
・同義反復 (どうぎはんぷく)
これをやるぜ!
循環論法
「大吉の家はどこだい?」
「大吉の家は中吉の家の向かいだ。中吉の家は末吉の家のとなりだ。末吉の家は大吉の家の斜向かいだ」
みたいなやつ。大吉の家の場所が分からないのだから、末吉の家の場所が分かるわけがない。このように、これから立証すべき結論を根拠に持ってくる論法。
結論:ホームページの情報は正しい。(A)
根拠:なぜならホームページにそう書いてあるからだ。(B)
Bが正しいためにはAが正しい必要がありますが、Aはこれから立証すべき結論なので根拠には使えません。
聖書は正しい。
なぜなら神の言葉だからだ。
聖書は神の言葉だと聖書に書いてある。
三行目が正しいためには一行目が正しくないといけませんが、一行目はまだ立証されていないので使えません。
結論:殺人は悪である
根拠:なぜなら殺人は法律で禁止されているからである。
根拠の根拠:法律で禁止されている理由はもちろん殺人が悪だからである。
三行目の根拠が一行目です。
もっと短くして「悪いものは悪いのだ」というパターンもある。
肯定形を否定形にしてみた
結論:中絶は悪ではない
根拠:なぜなら中絶は法律で禁止されていないからである。
根拠の根拠:法律で禁止されていない理由はもちろん中絶が悪でないからである。
いいものはいいのだ!
「いじめは悪である。なぜならいじめが悪という価値観は社会的承認を得ているからである。なぜ社会的承認を得たかといえば、それはいじめが悪だからである」
社会的承認は説得の結果であり根拠ではありません。
結論を先取りすること。
例 「Aである。なぜならAであると仮定するとAだからだ!」
(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ ;)
おっ、教えてGooにいい例文あるじゃん早速パクっ・・・・ゲフッゲフッ引用させてもらおう。手抜きではない、ただ自分では思いつかないだけだ!
殺人犯Aの残虐さは、まさに想像を絶します。なぜAがこのような残虐なことをしたのか、それはAがまさに、殺人を犯す人間だからでしょう。また、Aは犯人でないという人もいますが、そのようなことはないのです。Aは殺人犯であるからこそ、あのような残虐なことをしたのです。
A氏の「不当逮捕に抗議する集会」の皆さん。A氏は、これこれの経緯で、違法な警察の判断で逮捕されました。その違法性は、皆さんが、「不当逮捕に抗議する集会」に集まってくださったことからも明らかです。不当逮捕されたからこそ、このような抗議集会も成立したのです。
うむ、わかりやすい。これから立証しようとしている結論をすでに立証された前提として組み込んでいる。
反論 「あなたの主張は論点先取だから間違いですね」
どこが論点先取なのか説明しないとこの反論自体が論点先取になりかねない。
■自明な議論
「栄養バランスの取れた食生活が望ましい」
「バランスが取れている」とは「配分が適切である」という意味です。そして「適切なものが望ましい」のは自明なことです。では具体的にどう配分すればバランスが取れるのかが重要な点なのですが、そこが全て省略されているのでこの発言は正しいけど役に立たない主張です。
「ゲームのやり過ぎは良くない」
「やり過ぎ」には「良くない」の意味がすでに含まれています。では何時間からがやり過ぎなのか、その根拠は何かが重要な点ですが、省略されているのでこれは正しいけど役に立たない主張です。
「食べ過ぎは体に悪い」
「食べ過ぎ」は「悪い」を含んでいる。何キロカロリーからが食べ過ぎなのかに触れていない。
「体罰と虐待を混同している者がいるが、やり過ぎれば虐待なのであって、節度をわきまえた体罰は虐待とは言えない」
デメリットが上回る方法ならやり過ぎ、メリットが上回る方法なら節度をわきまえていると定義すると、それを区別する判断基準が省略されているので、これは自明な主張で実際的には役に立っていません。
「バランス」「○○過ぎ」「過度な・・・」「過剰」「適度」「適切」「節度」「必要以上の・・・」のような言葉が出てきたら判断基準に注目しましょう。
同義反復
表現をちょっと変えて同じ意味のことを言うやーつ。
「彼は勤勉だから怠けるわけがない」
勤勉と怠けないはほぼ同義なので根拠にはなりません。
「彼は正直者だから嘘をつくわけがない」
もう完全に同じ意味。
「私の意見は客観的だ」
これは「私の意見は正しい。なぜなら誰にとっても正しい意見だからである」と同じ意味で根拠にはなりません。
「バカは救済しなくて良い。Aはバカである。したがってAは救済しなくて良い」
「バカの定義は何ですか?」
「Aのような者をバカと言う」
短くすると
「Aは救済しなくて良い。なぜならAは救済しなくて良いからである」
なるほどわからん。
「スポーツでは指導者が適切な指導をすればケガはしない」
「適切な指導とはなんですか?」
「ケガをしないような指導方法です」
ケガをしないような指導をすればケガをしない! どうやるのかは教えない。
「ホームレスは全員クズだ!」
「なぜ分かるんです?」
「クズでなければホームレスにはならないからだ!」
これでは結論の対偶を言っただけなので根拠になっていません。クズでなければホームレスにならない理由の部分が根拠です。
「手抜きではない、ただ自分では思いつかないだけだ!」
なんですか? 良くないよ。
【まとめ】
みんな!オラにちっとつ元気を分けてくれ!Tweet
関連サイト
Science hilihili - これがいわゆる循環論法
【5−2】トートロジー(循環論法)に気をつけよう シンクロン・ナレッジ
詭弁 - Wikipedia(論点回避)
論点先取 - Wikipedia
循環論法 - Wikipedia
バランスが大切 - 名言と愚行に関するウィキ
必要以上 - 名言と愚行に関するウィキ
それって論証になっている?――循環論法|カイゼン!思考力
第3章 詭弁!誤謬!レトリック!―サブメニュー
【推論形式の誤謬】
【前提の誤謬】
【レトリック】(暗示にかける表現)