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【論理的思考力と議論】
【上級者の実戦を観察する】
【心理と対話】
【その他】
【推論形式の誤謬】
【前提の誤謬】
【レトリック】(暗示にかける表現)
最終更新日:2016.1.3
今日は
・分割の誤謬 (ぶんかつのごびゅう)
・合成の誤謬 (ごうせいのごびゅう)
・誤った二分法 (あやまったにぶんほう)
これをやるぜ!
分割の誤謬
全体の性質から一部分の性質について断定する間違いです。
「アメリカのGDPは世界一だ。だからアメリカに貧乏人はいない」
おる。全体の合計値が高いから個々の数値も高いと決めつけています。
「A校は進学校だ。だからA校の生徒のBくんも学力が高いはずだ」
そうとは限らない。集団の平均から個々の性質は断定できません。
「日本人は一般的に勤勉だ。だから日本人のA氏も勤勉なはずだ。」
勤勉でない人もいる。全体の国民性から個々の性格は断定できません。
アメリカ人のA氏 「差別は良くない」
B氏 「一番差別をしてる国はアメリカじゃないか!」
差別をしている人とA氏が同一人物だとは限りません。国籍という属性が同じであるという理由だけで言行不一致であると決めつけています。
西洋人のA氏 「クジラを捕るのは良くない」
B氏 「先にクジラを捕ったのは西洋人じゃないか!」
クジラを捕った人はA氏ではありません。先祖と血がつながっているというだけで同一視しています。
アメリカ人のA氏 「人類は肉食をやめてベジタリアンになるべきだ」
B氏 「平均的なアメリカ人が消費する肉の量は世界でもトップクラスだ。それがどの口で言うのか?」
答え (全体の平均から個々の数値を決めつけています。A氏は平均的なアメリカ人とはかけ離れたベジタリアンかもしれません。)
アメリカ系日本人 「北海道の銭湯が外国人の入浴を断ったのは人種差別です」
在日中国人 「今まで白人はずっといじめる立場だったのだから、相手の気持ちを理解するために、たまには自分がいじめられる立場に立つのも良い」
この日本人がいじめる立場の人だったとは限りません。「お前らの集団は普段お前の言うことと逆のことしてるだろ」と言うとき、その個人と集団が同じ思想を持っているとは限りません。
(小野田博一「論理的に話す方法」より引用)
「女性が数学の教師になるのは理に反する。数学のテストの女性の平均点は男性の平均点よりも低く、その隔たりは統計学的に認められる差があるのだから」
【答え】 (女性の数学の平均点から個人の能力を判定しようとしています。個人の能力は教師の要件を満たすかもしれません。)
おまけ、反証のニュース来てました。
「女子は数学が苦手」はステレオタイプのせい
「女性は数学が苦手」は根拠なし
表現の自由を侵害する行為は立派な憲法違反であります。だから全裸で出歩いちゃいけないとかそういう法律とか無いんだーーー!!いーーーんだーーー!!!うぇうぇえwうぇwwwwwww」
ポリスー!
物事の一部分をとり上げて、一部分がこうだから全体もこうであるはずだと主張する論法です
早まった一般化との違いは、早まった一般化が「少数の事例から多数の傾向を判断する」のに対して、合成の誤謬は「一つのモノの一部分からそのものの全体を判断する」という点にあります。
「イスラム原理主義テロリストは悪である。よってイスラム教は悪である」
イスラム教の一部分が悪だから全体が悪であるとする結論に飛びついています。
「ブログの誹謗中傷が人を傷つけている。よってインターネットは危険な道具に過ぎない」
「自衛隊にはイジメがある。ゆえに、自衛隊は不要な組織だ」
「科学は危険な兵器を生み出す。だから科学は有害である」
これらはメリット・デメリット比較をせずに、一部のデメリットのみから全体のデメリットが上回るとする結論に飛びついています。
「同性愛を認めるなら人類は繁殖を放棄したことになる。だから同性愛を認めてはいけない」
人類の一部(同性愛者)が繁殖を放棄したなら、人類全体が繁殖を放棄したことになると拡大解釈しています。
A氏 「再来週の日曜日に会社を休みたいのですが」
B氏 「そんなに休みたいなら辞めればいいじゃないか」
ある一日だけ休みを取りたいという発言を毎日休みたいのだと拡大解釈しています。わざとな!
A氏 「我が社の社風には問題があります」
B氏 「嫌なら辞めて他へ行けばいいだろ」
A氏は社風が一部のデメリットを生むと主張しただけなのですが、B氏は会社に在籍する事自体がデメリットであると拡大解釈しています。これは「一部でも否定するならすべて否定したことになる」という理屈ですが別にそんなルールはないぜ。
A氏 「辞めるよりは我慢する方がマシです」
B氏 「だったら文句言うな」
こうなると論点のすり替えのページに出てきた相殺法になります。
在日外国人A 「日本で税金を払ってるのに選挙権がないのは差別だと思う」
日本人B 「日本を批判する外国人には、そんなに日本が嫌なら出て行けと言いたい」
B氏は日本に部分的なデメリットがあるという意見を聞いて、ならば総合的にもデメリットが上回るのだろうとする飛躍した推理をしています。
A氏にとっては日本に住みながら日本の問題点を批判して改善する生活のほうが、総合的なメリットで上回るという可能性をはじめから排除しています。
A氏 「昨今のマスコミの報道姿勢はけしからん」
B氏 「確かに行き過ぎの取材にはうんざりだが、マスコミがいなかったら情報を入手できない。A氏はマスコミに価値がないと言っているが、マスコミから恩恵を受けてるのは事実だ。少しはマスコミに感謝すべきだろう」
B氏は、A氏がマスコミの報道姿勢(部分)を批判することによってマスコミの価値(全体)を批判したと解釈しています。これにより論題が「報道姿勢の是非」から「マスコミの価値」にズレました。
ある部分に反対だからといって全体に反対だとは限りません。
結論がAかBかの二者択一だと思い込み、存在するであろう第三の選択肢Cをはじめから除外してしまう誤り。または、物事には0か100かの両極端しかないと思い込み中間の1~99を排除して考えてしまう誤りです。
A氏 「我が社の社風には問題がある」
B氏 「嫌なら辞めて他へ行けばいいだろ」
A氏 「辞めるよりはいい」
B氏 「いいなら文句言うな」
さっきのやつだ・・・
B氏は問題点に言及しないか会社の辞めるかの二者択一だと考えており、第三の選択肢である「会社に残って社風を改善する」をはじめから除外しています。
「AよりもBのほうが大きな問題だ。だからBを先に改善するべきだ」
第三の選択肢「両方同時に改善する」を除外しています。
「社会の問題を全て解決するのは不可能だ。だから社会を改善する努力はすべて無駄なんだよ!」
100件ある問題うち1~99件は解決できるかもしれないのに、すべてを解決できなければ一切が無駄であるとして中間を認めていません。
テレビで見たやつ
えびすさん 「アイドルちゃんてタレントのAさんのこと好きなの?」
アイドル 「そんなことありません、ふつうですよ!」
えびすさん 「ふつうなんてないよ、好きか嫌いかのどっちかしかないじゃん!」
アイドル 「じゃあわたし、えびすさんのこと好きです!」
えびすさん 「でへへ」
えびすさん・・・
M 「探求しようとする対象が何であるかを知っていなければ、それを探求することはできない。それは顔も名前も知らない人を探すようなものである。しかし、探求しようとする対象が何であるかを知っているならば既に答えは出ているので探求の必要はない」
M氏は対象について完全に熟知しているか、全くの無知であるかの二パターンしかないと誤解しています。言い換えるとこうです。
「問題点を知らなければ解決策は探せない。でも問題点を知っているならば既に解決策は出ているので探す必要はない」
あるいは「相手が誰かを知らなければその人の内面を知ることはできない。でも相手が誰か知っていれば既にその人の内面も知り尽くしていることになる」
いやそんなわけないだろ。理解の深さには程度があります。
S 「現世で教わっていない知識を持っているならば、それはすなわち前世で教わっていたということになる」
現世で自力で発見した可能性を排除しています。
【まとめ】
みんな!オラにちっとつ元気を分けてくれ!Tweet
関連サイト(合成の誤謬)
詭弁>合成の誤謬 - Wikipedia
関連サイト(誤った二分法)
どっちも嫌なのに! -誤った二者択一 GLOBIS 知見録
「非X」だから「Y」である? -選言肯定 GLOBIS 知見録
第3章 詭弁!誤謬!レトリック!―サブメニュー
【推論形式の誤謬】
【前提の誤謬】
【レトリック】(暗示にかける表現)